四つの領域を循環する

生命科学の進歩は「私達が何者であるか(Who we are)」を、もっと有体に言ってしまえば「私達は何か(What we are)」を、レゴブロックの一つ一つをデータ化していくように蓄積していっている。 最近よく考えているのは、この先にある思考の「こんがらがり…

「無人島でも同じこと言えんの?」

ネットで使われるネタ(または思考実験)として「サバンナでも同じこと言えんの?」というのがある(詳しくは「お前それサバンナでも同じ事言えんの? - ニコニコ大百科」) 最近気づいたが、社会的な認知について考える際も似たような思考実験が使えて、「無…

ゲーム化されない「つながりゲーム」

前置きとしてカーストゲーム、または優越感ゲーム →要約:優越感ゲームは私たちの行動決定や意識的経験の内容を決める要素として大きい比重を占める。しかしそれと並んでもうひとつ重要な別のゲームがある。それをつながりゲームと呼んでみる。 ヒトが行って…

嘔吐を催す不条理

嘔吐を催すような不条理について思考すること。自分がいま最も嫌悪感を感じること、それは進化について思考することだ。進化というメカニズムの悪魔性を見つめることだ。進化によってもたらされる人間の遺伝的不平等(遺伝的多様性ともいう)と、そこからあ…

カーストゲーム、または優越感ゲーム

※このエントリーを書いた10日後ぐらいに優越感ゲームという言葉を知った。その言葉の方がいいかもしれないが、このエントリはそのまま残す 私たち人間のいきる生、それをカーストゲームと呼んでみる。私たちの日常は、カーストゲームをプレイすることで過ぎ…

悪の問題、とりわけ人間悪

悪の問題(problem of evil)または苦の問題(problem of suffering)と呼ばれる、宗教・哲学上の問題がある。「なぜ世界は苦しみに満ちているのか?」「なぜ私は苦しまねばならないのか?」この問題における悪(evil)は一般にざっくり二つに分けられる。 …

社会的認知はどれぐらいのサブモジュールに分割できるか

以下、個人的なメモです 人間の持つ社会的認知の機能はどれぐらいのサブモジュールに分割できるだろうか?より詳細でソースの付いてるもっとマトモなリストというのが、恐らくどっかにあるだろけど、それは多分英語だろうから読むのが面倒なので、自分で考え…

承認に関する不思議な序列 無関心<下方承認<上方承認

書きかけ(というか考える途上で書いてるので、時間がたつとかなりの部分が「うわー」という感じのものになる予定) 承認欲求という言葉は、日本語圏のブログおよび新書界隈では、一般に「他者に認められたい(有名になりたい、尊敬される状況になりたい)」…

社会的認知・社会的情動の(私達の心理的生の中における)大きさ

社会的認知・社会的情動の私たちの(または私の)意識的な生活に占める比重の大きさ*1、これに最近ますます自覚的になってきている。私(または私達ヒト)の脳が見せる世界は、ソーシャルな意味によって彩られた(またはソーシャルな意味が主たる構成要素と…

落書き

久しぶり落書き。横顔。特に意味なし。天野喜孝風にしようと思ったが、どんなだか忘れてしまった。

最近 思考がサクサク進む 社会性(sociality) 承認(recognition)

最近思考がサクサク進む。 最近は社会性(sociality)と承認(recognition)を軸にしつつ、日ごろ見聞きする様々な出来事を 生物学的かつ社会的な観点からいろいろと考えている。以下、特にまとまりのないメモ。 一般に社会性や承認などといったことは、学問上、…

レイシズムを批判する

前回レイシズムを「擁護」した。基本的にそのスタンス(違いの存在を指摘することさえ否定する行為への反発)は変わらない。しかしながら「常識的に考えて」レイシズムはよろしくないものとされる。この点は私は同意する。ではなぜよろしくないのか。今回は…

レイシズムを「擁護」する

「○○人は〜〜だ」とか「●●民族は──だ」とか言う形で、否定的な内容を含む発言がなされた時に、「そうした発言はレイシズムであるから正当ではない」といった形の批判がなされることがある。これは 「本人にコントロールできない出生上の偶然を根拠にして、あ…

ブラジルで実証:自らを絶滅させる遺伝子組み換え蚊(2012年7月27日、WIRED) イギリスの『ガーディアン』紙は、この蚊を導入することで、ブラジルでは危険な種類の蚊であるネッタイシマカ(Aedes Aegypti)の数が、導入されていない地域と比べて85%も減少…

心は第二の自然である (イッツ・オートマティック)

自動性 ひとつ上のエントリで「自動的」という言葉を使っているけど、これは一般に無意識とか、反射とか、本能とか、または何か他の通俗的な一般に使用される心的な概念で説明される何かである。私が自動的ということで言いたいのは、認知がオートマティック…

宗教、物語的認知、意味と規範(妄想なぜなぜメモ)

アメリカやヨーロッパで行われている宗教が持つ機能の科学的分析においては、主に宗教が持つ集団の統合機能が注目されている事が多いように思う。これはアメリカやヨーロッパという国(宗教を持ってないとハミ子になる国)の内部にいるから、それが重要に思…

「淡路のサルには優しい遺伝子がある:読売新聞」

兵庫県の淡路島に生息するニホンザルの集団は他の地域と比べて他者に優しい性質を持ち、「優しさ」に関係する遺伝子の構造にも、差があることを、京都大野生動物研究センターなどが発見した。 遺伝子が、「社会行動」を左右している可能性を示す研究で、6日…

オバケよりも怖いもの

昔、とあるド田舎で、小学校しか出たことのないおっちゃんに、夜中にキリリとした顔で言われたこと。 おっちゃん「おい、オバケは怖い。でもオバケより怖いものがある。知ってるか?」俺「?」おっちゃん「それは人間だ(キリリ)」

イジメ問題。汝、復讐せよ

イジメに関する報道が発生するたび、色々騒がれる。だが残念ながら、当然だけど、これは綺麗事では決してなくらない。これは闘争なのだから。こうした問題に関する答えは簡単だ。復讐である。やられてる側に「おまえはあいつを殺してもいいのだ」とはっきり…

進化は今・ここで、私達に起きている

人間が進化の過程を経て生まれた生物だということに、多くの人は同意する。しかし実際そのことの意味はほとんど理解されてない、と思う。進化において重要なことは、それが今、現在進行形でリアルタイムで起きている、ということである。それはアフリカの奥…

「クオリアの哲学と知識論証」 読み始め

クオリアの哲学と知識論証―メアリーが知ったこと作者: 山口尚出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2012/03/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 74回この商品を含むブログ (6件) を見るこれは面白い。まだ2割ぐらいしか読めてないけど。この本はタイトルに偽…

我々は自然現象である

我々は自然の一部である。こうしたことは詩的にはよく語られるが、しかしその重みと深さはほとんど考慮されていないと思われる。 私達の体の中で起こっている呼吸、消化、生殖、代謝、これらはすべて自然現象である。それは雲の流れ、カミナリの轟き、空を巡…

「なぜ勉強するのか?」

少し流行しているので、書いてみる。学ぶ理由/学ばせる理由、7つ。 1. 承認をめぐる闘争(威張るため、バカにされないため、知ったかぶるため、有名大学に入るため、有名企業に入るため、お金持ちになるため、等々) この点については「なぜオシャレするの…

「昔の人は自分の頭でものを考えていた」

「昔の人は自分の頭でものを考えていた」「ΩΩΩ 最近こういう時代が来るように思えてきた。電卓やパソコンの登場で、面倒な計算は機械がやるのが常識的になった。やがては考えることも機械がやるのではないかな、と思える。思考が神経系の活動であり、それが…

とある疑似科学を倒す方法2 「おまえの脳を見せてみろ」

疑似科学も含め、実はあらゆるタイプの「変な」思考を完膚なきまでに倒せる(だろう*1)方法がある。 それは論法や証拠、議論の方法云々といったものではなく、 技術的な未来の話だけれども、ある程度の未来において常に使えることになる(だろうと思われる…

とある疑似科学を倒す方法

疑似科学に対して、「それがどうおかしいか、どういう問題点があるか」という情報を正面からマジメに発信していくタイプの活動がある。「おかしな代替医療にはまるとお金と時間だけでなく、子供の命まで危ないですよ!」というタイプの情報である。個人的に…

クオリアは自然数における円周率パイ(のようなもの)である─構造は存在に届かない─

2年ちょっとぶり、いきなりブログ更新する。存在と意識について色々考え、自分の中で、共通する同根の点が分かった(ような気がする)。 クオリアや存在というのは、自然数の体系の中における円周率パイのようなものである。 円周率パイというのは、ある。…

二つの問い

世界には様々な問いがある。そうした問いの中でも、最も究極的と言える「問い」は何だろうか? そう聞かれたら、僕は次の二つを挙げる。 なぜ世界はあるのか 意識とは一体何なのか ハイデガーは前者の問いを「存在の問い」と呼び、後者の問いをチャーマーズ…

何ができて、何ができないのか

政治に、行政に、何ができるのか、そして何ができないのか。それさえ誰も分からないまま、政治的な要求が行われ、理想が語られ、そしてそこへ膨大な労力が投入される。 しかしながらシステムにはある入力で制御可能な範囲がある。たとえばの話だが、この先ど…

悪は複雑性の奥に潜む

現代の悪は複雑性の奥に潜む。人の家に侵入して財産を盗み出せば、悪人として周りの人々から糾弾されるだろう。しかしより複雑な方法で盗むなら、誰の非難を浴びることもない(時に賞賛されさえする)。現代の悪、それは複雑性の奥に存在する。#wikipedia:複…