ユートピア

四つの領域を循環する

生命科学の進歩は「私達が何者であるか(Who we are)」を、もっと有体に言ってしまえば「私達は何か(What we are)」を、レゴブロックの一つ一つをデータ化していくように蓄積していっている。 最近よく考えているのは、この先にある思考の「こんがらがり…

嘔吐を催す不条理

嘔吐を催すような不条理について思考すること。自分がいま最も嫌悪感を感じること、それは進化について思考することだ。進化というメカニズムの悪魔性を見つめることだ。進化によってもたらされる人間の遺伝的不平等(遺伝的多様性ともいう)と、そこからあ…

悪の問題、とりわけ人間悪

悪の問題(problem of evil)または苦の問題(problem of suffering)と呼ばれる、宗教・哲学上の問題がある。「なぜ世界は苦しみに満ちているのか?」「なぜ私は苦しまねばならないのか?」この問題における悪(evil)は一般にざっくり二つに分けられる。 …

イジメ問題。汝、復讐せよ

イジメに関する報道が発生するたび、色々騒がれる。だが残念ながら、当然だけど、これは綺麗事では決してなくらない。これは闘争なのだから。こうした問題に関する答えは簡単だ。復讐である。やられてる側に「おまえはあいつを殺してもいいのだ」とはっきり…

進化は今・ここで、私達に起きている

人間が進化の過程を経て生まれた生物だということに、多くの人は同意する。しかし実際そのことの意味はほとんど理解されてない、と思う。進化において重要なことは、それが今、現在進行形でリアルタイムで起きている、ということである。それはアフリカの奥…

健康のためなら死んでもいい!

・健康のためなら死んでもいい! この言葉を見るたびに、人はなんと不条理な欲求をもてるものかといつも歓心する。歴史的に、ユートピアを志向して作られた世界がしばしばディストピア的あったのには 人のもつこうした愚かな性向が大きく関わっているだろう…

束縛条件の強さ

ユートピアの製作を最適化問題の一種と捉えるために、束縛条件について少し考える。 とはいえ束縛条件を記述するにも、その記述の仕方自体に世界の捉え方の影響が大きく入ってくるのだが、まあとりあえずそういうややこしい問題はおいておく。 (こういう問…

ユートピアと最適化問題、変数の範囲

ユートピアの製作は最適化問題の一種として捉えることが出来る。ただしここで選択する変数は、いわゆる政体や社会システムだけではなく、「私達自身」も含めなければ、ほとんどどんな変化も望めない。つまり「人間である」ということは最適化のさいの制約条…

不幸と改善、間のズレ

無学は改善されるべき状態だろうか?今の社会では、貧しい地域に学校を作ったり、奨学金制度を用意したりと、質の高い教育を全ての人に授けよう、という系統の熱心な活動がそこかしこで日常的に行われている。もちろん僕はそういう活動をいいことだと思うし…