インストーラー

映画「マトリックス」や「攻殻機動隊」に出てくる人々の首の後ろには、同軸ケーブルを差し込むための穴ぼこがついている。仮想世界に飛び込むとき、互いに何かの通信をするとき、何かを学習する時(インストールするとき)、この穴ぼこを通して情報の伝達が行われる。

映画マトリックスで主人公はこのケーブルを通して、短期間で数多くの格闘術を修得する(「じゃあ、インストールするぜ。」「おk、こい」 ヴィィィイイン 「ふぅ、よし、マスターした・・」みたいな感じで)。映画 攻殻機動隊でも同種のシーンが見られる。

こうしたブレイン・マシン・インターフェース的なものを通しての学習が可能になったら、つまりインストーラーが実現されたら、物事の学習速度が飛躍的に向上する。そして学習コストが革命的に低下する。こうした事が現実になったなら、いったい僕らの世界はどれほど変わるだろうか。

例えば教育機関は基本的にすべてなくなるだろう。時間をかけて物事を学ぶ必要がなくなるから。

こうして想像できる可能な未来と今の僕らの日常の間のギャップ、このギャップが、僕が注目する「愚かさ」というものとつながる。それは愚かさというのが一般に、何らかの理想状態との差、でもって把握される概念だから。