動画で見る人工内耳

今日は人工内耳という技術に関する動画を紹介します。
まず人工内耳とは何か?以下、Wikipediaより。

人工内耳(じんこうないじ)とは、聴覚障害者の内耳の蝸牛に電極を接触させ、聴覚を補助する器具である。

‐出典 Wikipedia 人工内耳

ちょっとわかりにくいかもしれませんね。
もっと簡単にいうと、人工内耳というのは補聴器の進化バージョンのことです。つまり耳の聞こえない人の耳の奥に電極を埋め込んで、再び音を聞こえるようにしてやろう、という技術のことです。

仕組み

この技術の大まかな仕組みは以下の通りです。まず耳の辺りに置かれたマイクで音を拾って、その情報をプロセッサで処理します(プロセッサというのは上図で Speech processerと書かれた耳に掛けられた小さい箱:コンピュータのことです。)。そして処理された信号は、電波を使って頭の中に植え込まれたモヂュールに送信されます(この信号送信は線なしで行われます。つまり携帯電話などと同じアンテナを使った無線通信です)。そして頭の中に届いた信号は、鼓膜の奥にある蝸牛(図の中で、青く書かれているカタツムリみたいな器官)に届きます。そしてこのカタツムリ型の器官の内部に配置された電極が、聴覚神経(図中のAuditory nerveと書かれたカタツムリから右上に伸びるタバ)を直接ピリリッピリリッと刺激します。そしてこの刺激により聴覚神経に伝えられた信号が、脳まで伝わり、音が知覚されます。

以上の流れをアニメーションでまとめた動画が以下です。

プロセッサのスイッチを入れる瞬間

埋め込み手術が終わったあと、スイッチを入れるときは、医者が患者と対面で会話しながら、徐々に送信する信号の内容を調整していくようです。以下は19歳の時に聴覚を失ったオーストラリアの30才の女性Nikkieさんが、プロセッサのスイッチを入れる瞬間の情景を記録した1分間の動画です(この動画はNikkieさんが自分でYouTubeに挙げているものです)。

他の動画

YouTube他にもスイッチを入れる瞬間を写した動画が多数上げられています。それらの動画は、手術を受けた人自身が、または手術を受けた幼子達の親達が、驚きの声とともにアップロードしているものです。
YouTubeの検索結果 - cochlear implant activation

感想1

こういう動画を見て、怖いと思った人もいるかもしれません。例えば、意識って電気信号にすぎないんだろうか、という風に。

その疑問に対しては、ある意味ではイエスと言えますが、また別の意味ではノーだといえます。もちろん意識が何なのか、という問題に対しては立場により見解が大きく異なっているのですが、一般的には意識は単純な意味で電気信号なのではない、という風な形で考えられています(意識とは何なのか、という問題に関する哲学的な立場の違いの一覧はChalmers(2002)が便利です)。

一般的に言えば、なぜ脳の物理的過程から意識体験が生ずるのか、それが現在の私達にとっての最も大きな謎、大げさに言えば神秘なのだ、と言えるでしょう。哲学者達はこの問題を意識のハードプロブレムと呼びます。

感想2

Nikkieさん、おめでとう^^