部分空間として色空間を持つように想定される

クオリア空間というものについて考える際に、多くの人に参照されている概念がある。それは色空間の概念だ。

色空間というのは軸の取り方によって表し方は様々に変わるが、それは三次元のベクトル空間として表される。
身近な所だと、PCなどで使用する0から255までの数字三つを並べたRGB値がこうした色空間の表現のひとつだ。
(ちなみにこの構造は歴史的には現象学的に同定されたものであり、そういう意味においてはこれは科学ではない。この点について「意識の主観的側面は科学では扱えない」と主張する人は一体どう説くだろうか?聞いて見たい)

で、クオリア空間というのはこの色空間を拡張したようなものとして想定されている。

つまりクオリア空間というのは「色空間を部分空間として含むような数学的構造」であるべきだ、という条件が暗黙の内に想定されている。

色空間で見るイージーとハード

せっかくここまで書いたから、もう少し余談を書いておきます(この日記はだ・である口調とですます口調が頻繁に入れ替わります。何となくなので気にしないでください)。
チャーマーズが導入して有名になって「意識のイージー・プロブレムとハード・プロブレム」という区分があります。これは色空間の場合には具体的にどのような事態に対応するでしょうか。
とりあえずはまず図を見てもらうのが一番早いかと思います。

イージーな問題って?

まずイージー・プロブレムとは何でしょうか。ここで「脳の構造」(図左)と「色空間の骨組み」(図中央)を対応付ける作業がイージー・プロブレム(やさしい問題)になります。つまり図の左側の矢印が「やさしい問題」です。
私達の脳の回路が持つ構造(図左)がこうした「色空間の骨組み」の持つ構造(図中央)を完全に決定していることは明らかです(そうでなかったらヤバいです。もはやオカルトです)。対応関係がどれぐらい複雑であるかは別として、この問題は完全に現状の手業の範囲でアタック可能です。
数学の得意な方であれば「この問題はグラフ構造とベクトル空間のあいだの対応付けの問題でしかないんじゃないの」などとさえすぐ思うでしょう。これはそういう類の問題だということです。まあ、グラフ理論的な方向からのアプローチが実際に功を奏すかどうかは分りませんが、なんにせよ「やさしい問題」が進むべき方向のはっきりした問題だということは確かです。

ハードな問題って?

ではこれに対してハード・プロブレム(難しい問題)とは何でしょうか。それは図の右半分に当たります。弁別されたそれぞれの状態(図中央の骨組み内の各ボックス)に対して、ある特有の質感(図右)が伴っているのはなぜなのか?この問題がハード・プロブレムです。なぜこのボックスに伴う質感は「あの質感」でも「あの質感」なく「この質感」になっているのでしょうか?私は知りません(というか誰も知りません)。こういう類の問いに答えられるような枠組み、それを私達はまだ持っていないのです。だからハード(むずかしい)なのです。

ハード・プロブレムうぜぇぇぇーーー!

ハード・プロブレムうぜぇぇぇーーーー!!
簡単に理解できるのに答えが出てこない問題はウザい。
このイライラを誰か「すっきりー」させてくれ、誰もがそう思う。
だが、この問題の答えはまだ誰にも見つけられてない。