クオリア空間の数学的性質

MITの応用数学者 R. P. Stanley は次のような性質の空間としてクオリア空間を抽象化している(Stanley, 1999)。

無限次元(infinite-dimentional)可分(separable)実(real)位相ベクトル空間(topological vecter space)中の閉(closed)点コーン(pointed cone)。

うー・・

なげー!

で、EdelmanとTononiはこのStanleyの論文とは独立に、クオリア空間についての考察を行っているが(単にStanleyの論文を知らなかったらしい)、面白い事にStanleyの論文とほぼ同じ内容の結果となっている。Tononiらも位相を持った無限次元のベクトル空間としてクオリア空間を抽象化している(Edelman & Tononi, 2001)。こうした話のうちのどこまでを真剣に受けとめるのかは読み手の判断によって変わってくるのだろうけど、少なくとも僕は位相性についてだけは十分納得できる。無限次元という点は少し頷けるが微妙。他の点はよく分らない。特にStanleyが言っている、加法に関して閉じているというベクトル空間としての性質、なんかは結構想像しがたい。

クオリア空間が位相的とは?

StanleyもTononiもクオリア空間は位相的(Topological)だと言っている。僕はこの点は納得できる。
これは単に例えば、「赤とオレンジ」は「赤とつま先の痛み」より近い、といった事を言っているだけに過ぎない。

クオリア空間が無限次元とは?

これもStanley、Tononi両者が言っている点だが、クオリア空間は無限の次元を持つ(infinite-dimentional)としている。
これで言われている事は、単にある質感が別の質感に還元できない、というだけのこと。例えば「つま先の痛み」は「弱い赤」や「強い赤」といったものとしては表現できないというだけのこと。これもある程度納得できる。

他、実空間であることや、可分であることあたりはそうな気がするけど、ベクトル空間であることやconeであることとかは微妙だ(というかそもそもconeの概念がよく分らない)。

文献

Stanley, Richard P. (1999). Qualia space. Journal of Consciousness Studies 6 (1):49-60

A Universe Of Consciousness How Matter Becomes Imagination

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