構成不変の原理とネーターの定理 意識の保存則問題

ひとつ問題を思いついた。心身問題に属する問題だが、内容がかなり具体的。これはヤバいかもしれない。

構成不変の原理にネーターの定理を適用した場合に導かれる保存則を求めよ。

構成不変の原理とは(Principle of organizational invariance)

とりあえずまずChalmersは意識の神経相関物として、機能構成を挙げている。つまり意識体験は物理過程の機能的構成に応じて生ずる、という考え。そしてこの点から、機能的構成が同じなら対象となる系がどんな要素から成っていようとも(ニューロンでも、半導体チップでも)、その系には同じ現象意識が伴うとする。これがChalmersが「構成不変の原理」と呼ぶもの。要は多重実現可能性(multipul-realizability)の二元論バージョン。正しいかどうかは知らない。

ネーターの定理とは(Noether's theorem)

そのまま。
系が持つ作用Iを不変に保つような何らかの変換が存在するとき、その変換に対応して系の中で成立する何らかの保存則が存在する。

感想1

機能構成の数学的表現を得ることが最大の山。系の記述は物理系のもので足るはず。保存されるのは情報にまつわる量になるはず。

転倒バージョン

この問題は、保存される量を当て込んでしまえば、表現のやっかいな「機能」という語を排除して、ひっくり返すことができる。たとえば

系に施したとき、情報量保存則を導くような対称変換を求めよ。

何を保存すると仮定するかは勘次第だが、挑戦するなら多分こっちからの方が楽。

感想2

もちろんまずそもそも解があるのか、という所が問題。けども仮にこの問題に解が存在し(つまりChalmersの見込みが正しく、かつ私の問題の定式化がタマタマ正しかった場合)、かつそれが求まったら、それは相当ヤバい(心身問題、ハードプロブレムの終焉となる)。
数理科学の得意な人は、ぜひ挑戦してみてください。

参考文献

書籍

意識する心―脳と精神の根本理論を求めて

意識する心―脳と精神の根本理論を求めて

第七章の「不在のクオリア、ぼやけていくクオリア、そして跳ね踊るクオリア」で、構成不変の原理が議論されます。

論文

Chalmers, D. J. (1995) "Facing Up to the Problem of Consciousness"
p.20ページ目の下半分から構成不変の原理の議論が始まります。