「クオリアの哲学と知識論証」 読み始め

クオリアの哲学と知識論証―メアリーが知ったこと

クオリアの哲学と知識論証―メアリーが知ったこと

これは面白い。まだ2割ぐらいしか読めてないけど。この本はタイトルに偽りなしで、「クオリアの哲学」と「知識論証」について驚くぐらいきっちり書かれてます。多分日本語で今までに出たこの領域の文献として、一番よいものではないかと思います。

著者の立場は「タイプA物理主義」。この立場を「メアリーの部屋」(知識論証)の攻撃からディフェンスする。これが大筋の流れのようです。

個人的には「タイプA物理主義」は一番無理筋のポジションだなぁ、と感じている立場です。そう感じているのは「現象的経験を無視するという自己欺瞞に逃げる」以外にどうやってこの立場を整合的に思考できるのか、それが今のところ僕には分からないからです。つまり「反対だ」とか「間違っている」とかでなく、「そもそもどうやってそんな立場が整合的に主張可能なんだ?」というのが現在の心情です。ただ本書ではこうしたタイプA物理主義が持つ「受け入れ難さ」の部分にターゲットを合わせて、説明が行われているようなので(後書きより)、ちょっとずつ読んでいきたいと思う。期待。