愚かさの科学、愚かさの哲学


よく思うのだけれど、人間社会の大きいドラマの根にあるかなり重要なファクターは、愚かさ、なんじゃないだろうか。例えば無知とか、無思慮とか。仮に全員が全知であれば、政治にしろ経済にしろ、今のような状態には決してならない。そういう意味で僕は愚かさをとても大切な注目すべき問題だと思っている。もちろん僕自身も、傍から見て(そして自分から見て)常に何らかの意味で愚かだ。

しかし愚かさという形で軸を合わせた研究はなぜだか行われていない。情報の非対称性、知能指数認知バイアス、限定合理性、こういった概念は多数だされているが、なぜか愚かさという軸では絞られていない。天才やエリート教育に関する研究はある。脳の機能障害についての研究もある。けど今の社会にとって、そして僕達の日々の日常にとって、本当に問題になのは、むしろその間のレベルの所で、愚かさ、という軸を設定した上で得られる視点なのではないだろうか。だから愚かさの科学、愚かさの哲学、そういうものがあって欲しい。それらしい方向性の本は「バカの壁」というエッセイぐらいか・・・(立ち読みしただけだ)。